私の見た金問題

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裏金のつかいみち

私が高知と高松で次席検事として、調査活動費の決裁をしていたときに、印象に残っているのが、とある検事正です。

「なんとかなりませんかね」

事務局長が私の部屋に頭をかかえつつ、やってきました。聞けば、私の上司である検事正が、調査活動費の中から、毎月10万円を現金でくれというのです。

裏帳簿がありましたが、すべては飲み屋やゴルフ場の領収書がそろっていました。やっぱり、税金ですから、やましい心にも一寸の魂というのでしょうか、それとも役人の知恵なのか、とにもかくにも、領収書はありました。しかし、検事正に現金10万円手渡しですから、領収書がないのです。

事務局長によれば、この検事正、マージャンが好きで、現金10万円はマージャン代に充てているというのです。毎月10万円では足らないほど、マージャンが弱いとの評判。弱いのはいいのですが、それを国民の税金でとまかなうというのですから、あきれます。

調査活動費で飲食代金を支払うときは、いつも料亭の女将さんやスナックのママさんが集金にきては、領収書をもらっていた。美人のママさんや、田舎なら料亭の女将さんが着物をひるがえして、集金に来るのです。銀行振り込みにすると証拠が残るからです。

検察は、捜査する側ですから、どうすれば裏金がばれないか、よく本能的かつ理論的にわかっているのです。さすがは、捜査機関です。 事務局長はいつも金庫に現金を50万円くらい用意していました。

高知なら、浜長、城西館という料亭がよく使われましたね。高松なら喜代美山荘、二蝶です。

検察が行きますと、それなりに上客というのでしょうか。けっこう、いいものを出してくれました。一晩で安いときで10万円、かかるときは30万円くらいの払いであったと記憶しています。それでも安いほうで、検察の間では「学割」という言葉があり、検察ゆえに、特別料金を提供してくれる飲食店などがあるのです。

私が高松地検次席時代、将来の最高検検事長と嘱望されていました、則定という東京高検検事長が高松に視察に来ました。高松空港まで出迎えて、公用車を仕立てて、二蝶という料亭に行きました。終わればマージャン。これが、視察の中身です。

後に、この則定という人物は女性問題で失脚しました。問題の女性とは、高松の手前、大阪まで一緒に連れ添っていたらしいから、あきれます。

これをおしえてくれたのは、則定問題のスクープした雑誌記者でした。

その後、この記者は私の調査活動費が裏金だという記事もスクープしてくれたのですが、則定問題では私は接待する方にまわっていたのでした。人生は不思議なものです。

毎年、調査活動費の監査はありました。そこで登場するのが、表の帳簿です。裏はずっと裏のままです。厳重な金庫に保管していましたね。それを法務省や検察庁は

「捜査上、明らかにできない」

と聖域だという説明をしていた。

確かに、これじゃ説明できないはずです。

事務局長などは、調査活動費はまったく使うことはできません。おまけに支出伺い書や領収書の偽造は公文書、私文書偽造や行使という「犯罪行為」まで手を染めるのです。

上手に検事長、検事正のために裏金を作ることで出世する。塀の上を落っこちそうになって出世を目指すのです。犯罪行為を摘発、処罰する検察が自ら法を犯し、それが出世につながるのです。

本当に仕事ができる、私の片腕になって仕事や、捜査にかかわってくれた事務官たちは、今もあまり出世していません。捜査ができても、評価されないのが、検察の本当の姿であります。

検察庁や法務省が調査活動費を外部に知られたくなかったのか、私を逮捕してまでも隠しておきたかったのか、よくおわかりいただけるのではないかと、思います。